これが最初の物語。

 

昔々、ある国に自分の城の庭をたいそう自慢にしている1人の女王がいました。
 

その自慢の庭には色とりどりの花が溢れ、毎年夏みかんや桃などの果物も収穫でき、雨が降るとどこからともなくカタツムリが出てくる自然に満ち溢れた庭だったそうです。
 

中でも女王は、松の木がある裏庭に広がる美しい海がお気に入りだったとか。
 

そんなある日。
女王が毎朝庭にやって来る愛らしいスズメに餌をやっていた時のこと。
 

なにやら庭の隅に茶色い動く物体が‥それはよく見ると、熊でした。
 

女王は熊をとても気に入り、庭で飼うことにしましたが、熊は予想以上にすくすく成長してしまいあっという間に女王の手にはおえなくなってしまいました。
 

別れの日、熊は今までのお礼にと1つの梨を女王にプレゼントしました。
 

女王はその梨を一口かじり、その梨の美味しさに感動。
すぐに種を植えて育てることにしました。
 

さて、その頃。
城の近くに流れている荒れた川には主である亀の姿がありました。
 

亀はキタキツネとの勝負のためにしばらく川を留守にし、久しく住み慣れた我が家へと帰ってきたばかり。
 

自分を可愛がってくれていた女王様に挨拶しに行くべく、城を訪れました。
 

そこで亀が見たのは、梨の世話を自ら積極的にする女王の姿。
亀は思いました。
「今までは自分を可愛がってくれていたのに‥きっと、あっちの方が良くなったんだな。。。」
 

そんな亀には気付きもしない女王。
せっせとせっせと梨の世話を毎日し続けました。
 

梨の収穫時期も終えたある日、ふと頭に可愛がっていた亀のことを思い出しました。
 

亀の大事さを思い知った女王は必死に亀を探し、海の向こうに見える大きさは中ぐらいの島でウサギと仲良く遊んでいる亀を見つけました。
 

楽しく暮らしているなら‥と声は掛けなかったそうです。
それからは毎日、城の窓から楽しく暮らす亀を見守りながら暮らしたそうな。
 

おしまい。